土壌中の細菌・放線菌・糸状菌・藻類とその働き

土壌微生物

土壌中の微生物として、土壌中の細菌・放線菌・糸状菌・藻類などがある。土壌微生物は、分解者として、腐植の分解をスタートする腐植連鎖においてきわめて重要な役割を果たしている。例えば、有機物の無機化(物質循環)、酵素による有機物の分解と無機化、有害有機物の分解と浄化や植物生育の促進(菌根菌、根粒菌など)などに関わっている。

種類生物名、特徴など
細菌細胞壁をもつが核を持たない原生生物。球菌、らせん菌、桿菌。
放線菌Streptomyces属。長い菌糸と胞子をも持つ。菌糸の幅は0.5-1.0µmである。核を持たない原核生物である。キチンやセルロースの分解能が高い。
糸状菌Penicillium属。繁殖のために胞子を形成し、核やミトコンドリアをもつ真核生物である。セルロース、リグニン、タンパク質や落葉や落枝を分解する。キノコなどができる。
藻類Nostoc属(ラン藻)。単細胞のと多細胞のものがある。クロロフィルをもつが葉緑体を持たない原核生物生物である。窒素固定能がある。その他に真核生物の緑藻や珪藻などがある。

森林土壌においては、葉や枝が土壌動物によって細かく消化され、糖質、ペプチドやセルロースなどに分解される。小さくなった有機物がさらに放線菌や糸状菌により分解される。畑土壌では、好気的な環境が発達するが、土壌の団粒内部では嫌気的になる。そのため、団粒外部では好気性細菌が生息し、団粒内部では嫌気性細菌が生息している。また、施肥に由来するアンモニウムイオンが濃度は高く、硝化細菌の代謝も活発である。水田土壌では、土壌の表層数 mm の層は、溶存酸素や藻類の光合成により酸素が提供され酸化的条件に保たられていれるが、それより下の層では嫌気条件となっている。そのため、土壌の表層では硝化細菌などの代謝が盛んで、下の層では硫酸還元菌やメタン生成菌などの嫌気性細菌が多く生息している。

植物の根の周辺を根圏という。根圏の土壌において、根組織の枯死などにより有機物が豊富に蓄えられている。また、根の呼吸や代謝により、根圏では二酸化炭素の濃度が高い。根圏で生息する細菌は、主に胞子形成しないグラム陰性の桿菌である。栄養要求性が単純で、根からの代謝物を利用して活発に活動している。これに対して、非根圏では有機物が少なく、胞子を形成するグラム陰性菌が多く生息しているが、そのほとんどが、休眠状態や不活発な状態で存在する。

土壌微生物を培養することは困難である。以下のような原因が考えられる。そのため、土壌微生物の研究において、土壌微生物の計数において、顕微鏡利用で直接カウントする方法が、希釈平板法(培養による計数)よりも多く計上される。

  • 培地成分が不適切である。
  • 寒天培地で広がりの早いコロニーが存在して、他のコロニーの形成を防げる。
  • 増殖が非常に遅い微生物が存在する。
  • 生きているが、増殖能を失っている微生物が存在する。
  • 寒天の表面張力が不適切。
  • 単独培養ができず共生が必要。